2012年11月25日日曜日

[映画] 人生の特等席

2012年11月24日23時30分の回で見ました。途中離脱パターンとなりました。故に辛口。

冒頭、老いた主人公の描写が痛々しい。こういうのを避けたのが「グラントリノ」だったと思うだけによくイーストウッドが受けたなと思う。
主人公の自宅あるのは昔ながらのタイプライターのみ。サイドテーブルに八つ当たりして壊し、車の車庫出しでぶつける。すごくステレオタイプな演出。
本作が現在を時間軸に話をしているのは明確。(ノートPCは比較的最近のダイナブックで、分析ソフトはどうやらWindows晩らしい事から分かる)
そういう中で娘が昇進に関する連絡を受けるのは自宅の留守電。携帯じゃないのかというのが信じられない。
細かいところはともかくとして、「グラントリノ」や「J・エドガー」で描いたテーマの変奏曲がそれ以下というのは、正直模範回答があってそれを上回っていないのは物足りない。


「マネーボール」批判の情緒的な批判は本作の重要テーマの一つでしょう。セイバーメトリックス派のスカウトマンが、老いた名スカウトを批判する訳ですが、それに対する上司の反論は「鷹の目」と過去の実績のみ。これは後半回収されるのかも知れませんが、「マネーボール」の原作、映画が描いたGMの自らの過去に対する戦いに対して何を以て批判しているのかは伝わってきません。

多分最初のこういったハードルを越えて最後まで見れば何か伝わってくる物はあったのでしょう。ただその為に他の作品(「マネーボール」)を踏み台にするのは、あまり品の良い行為に見えず結局途中離脱。

球団側に対して主人公を守る上司役のグッドマンは「アルゴ」のメーキャップ・アーティスト役でも好演。大柄な体系というのは同じ(当たり前か)ですが、歩き方等で全く別人で気付かず。イーストウッドがオーバーアクションな演技の印象ですが、一方で上手い訳者を起用していたなというのは良い所でした。

本作に対して辛くなった要因の一つは共和党ロムニー大統領候補のイーストウッドの応援演説が背景にはあります。あの演説を見るとその場にいないオバマ大統領に対して批判するというものでしたが迫力がなく老いしか感じません。イーストウッドのそういった実情が本作とオーバーラップしており、結果、過去の実績だけ正面に出して来たように見えてしまったのは本作の監督の演出方針ミスとしか思えなかったのですが、どうでしょうか?