2012年9月9日日曜日

[映画] 「SRサイタマノラッパー3 ロードサイドの逃亡者」

2012年9月8日(土)「三重そうぶんシネマスクエア2012オフシアター」イベントで見てきました。自治体主催の映画祭のプレイベントで「東京人間喜劇」と二本立て一回のみの興行。両方見るつもりでしたが、時間を間違えており見られたのは元々見ようと思っていた「SR3」のみという失態でorz。
会場は元幼稚園の建物を転用した1室。入場時水のペットボトルを渡されてエアコンが効かないのかな?と焦ったら夜の公演だったせいか大丈夫でした。

1、2と見てきましたが、前作2が群馬の女子ラッパーという1と違う群像を描いたのに対して、3は東京に出たマイティの物語。テンポは良いですね。
東京パートはマイティの日常、ラッパーグループ極悪鳥でのポジション、そしてMCバトルとその後起きるある出来事により東京からの逃亡まで一気に描いてみせる。無駄な表現がなく素晴らしい。

時間は飛んで栃木へ。ロードサイドのショッピングモールの駐車場。国道を移動する車のシーン等、タイトルの「ロードサイド」感が伝わる絵が続く。
あまり栃木でのロケという感じはないんですが、食べ物(餃子=宇都宮)、日光東照宮?へのお参りシーンが挿入されていて、その点が2とは異なるかなと。(2は下仁田こんにゃくぐらいだった)

例によってSHOGUNのイック、トムが登場。「征夷大将軍」の四人と絡んでの件は、野外フェスで一儲け企む産廃屋と自動車修理屋という地方の顔役二人に翻弄されるマイティの物語がど顔役二人のやり方に染まるものの、更にそれ以上の要求を被せられる事で閉塞感が窒息感に変わって行く物語の合間に挟み込まれる事で目を背けずに見ていられる効果があったように感じられた。
マイティの物語は一美にある事が起きて一気に発火点に到達する訳ですが、その後うまく野外フェスに話をつないで全ての物語が会場に収束。
決して説得力があるようなシーンには見えなかったのですが、違和感を感じさせない展開だったのが非常に不思議です。何故なのかと考えるとマイティの人生の迷走と野外フェスシーンがオーバーラップしているように見えたからかも知れません。

最後に別のシーンに飛んで物語が閉じられた訳ですが、このシーンは野外フェスシーンでやっていても良かったのではないかなと思ったのは事実。ただ野外フェスで押さえ込まれたマイティが初めてサングラスなしの目を見せて、その後最後のシーンで素顔でイックとトムとラップで激突するというシーンを一連の流れとして考えると、プログラムピクチャーとしての決めのシーンとして以上の意義はありますね。

映画上映後、入江監督、マイティ役の奥野瑛太さん、トム役の水澤紳吾さん、衣装コーディネーターの方によるトークショー。酔っぱらっていた水澤さんの話はとりとめがなかったのですが尾道から大阪まで戻って来ていて急遽来て頂けたのは嬉しかったところ。
またマイティ役の奥野さんは最初に舞台袖に東京パートの衣装で立たれたところで、先ほどまでスクリーンに写っていた主演俳優が実体化、「マイティがやってきた!」感はなかなか味わえない感覚。

トークショーでは「1はアフレコ1年」「タグを外せない、汚してはならない衣装」「イックの靴はマイティの借りパク台詞(=奥野さんの私物で「史実」に基づく)」など、なかなか窺い知る機会がないインディ映画製作の舞台裏をかいま見る事が出来ました。
入江監督のお話で興味深かったのは「2制作時点で3は作る気になっていた」という点。これは名古屋シネマスコーレの2上映後トークショーで質問させて頂いた際「次は栃木、日光東照宮」と言われていたので納得。
3は1、2ではやっていなかったライブシーン、野外フェスシーンまで入れたという事で総括的な作品になっているとの事でしたが、1、2の後だから出来た作品というのは見ていて感じたところ。
あと一つ気になったのは、インディーズ映画とメジャー映画の製作体制の違いでしょうか。SRシリーズはインディーズでないと作れない、そして過渡期に来ていると言われた点、日本の映画製作環境でテレビ局や映画会社が出資して制作する場合の映画の表現に与える影響というのはそこまで違うものなのか、という点は今後調べてみたいと思ったところでした。

質疑応答ではシネマスコーレの人に勧められた方やライムスター宇多丸さんの話(TBSラジオライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル)を聞いて見に来たとの話が出てきました。後者については水澤さんが「ツイッターやPodcastがなかったら広がらなかったのでは」と言われていたのは同感。(私もTBSラジオがきっかけでした)
SR1、年間ランキングの特集で入れていたかと思ったらシネマハスラーでやってますね。

「SRサイタマノラッパー」感想
「SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー傷だらけのライム」感想

参考:TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」Webサイト
シネマハスラー「SRサイタマノラッパー」
シネマハスラー「SRサイタマノラッパー2女子ラッパー傷だらけのライム」
シネマハスラー「SRサイタマノラッパー3ロードサイドの逃亡者」