9月8日(土)に三重県遠征中に上映中のシネコンを探して見てきました。
(何故か行きつけのシネコンがあったりするんですが、これが。)
以下、ネタバレする事があります。
原題は"Safe house"。諜報機関が別途持つ隠し部屋という事でいいでしょうか。
主人公は南アフリカに駐在するCIA職員にしてセーフティーハウスの管理人。普段は何もせず「宿泊者」の到着を待つだけ。カバーストーリーはNGO職員という設定。
そこにデンゼル・ワシントン扮するCIAの裏切り者フロストが「敵」に追われて米総領事館に逃げ込む。ヴァージニアのCIA本部は身柄をセーフティーハウスに移す決定をするというところから物語が動き始める。。。
一番美味しいシーンはフロストがある情報を受け取った後、敵に包囲された中、強行脱出して米総領事館に飛び込むまでと、その後のセーフティーハウスでの尋問とフロストの身柄を奪いにくる「敵」の強襲と脱出シーンまで(多分このあたりがAパート)ですね。
「何故?」という疑問をさておいて物語が猛烈なスピードで動きます。この映画監督もPV出身者なのかカット割りが異様に細かい。また高感度の粒子感&ハイコントラストな絵作りで昼夜問わず撮っているあたりは癖のある感じ。アクションシーンは総じて手持ちカメラ風の撮り方をしていて何が起きているのか把握するのが難しい演出。ただスピード感を持たせられた事と高感度粒子状の絵作りで昼夜問わず同じテイストを維持出来た点は面白い演出だと思います。
さて、いいところはこんな感じなんですが、問題は脚本。
本作の場合、物語の推進力はどこまでも追いかけてくる「敵」にあります。
が、しかし、フロストが冒頭情報を受け取った直後から襲撃を受けるきっかけは全く描かれていないと思うのですが……見落としでしょうか。どうも冒頭だからいいやと放り投げられたような印象があります。
その後も執拗に襲撃が繰り返される中で「敵」の要員を拘束して吐かせる訳ですが、あっさりと雇い主を言えるのが不思議。そもそも雇い主が殺し屋に身元を明かすかなと。彼らがCIA正規の特殊作戦要員なら別ですが、そういう設定はなかったはず、というかそういう設定にしていたらもっと面白かったですね!
一番安全な総領事館(治外法権)からわざわざセーフハウスに移す理由も謎。
あと襲撃の元凶となった情報はMI6やモサドも興味を持つ筈なのですが、出てくるのは「敵」と南ア警察とCIAだけという設定もこれまた不思議。
ネットで検索していたらリアリティあるCIA描写を狙ったそうですが、だとすれば三つ巴、四つ巴の混沌とした争奪戦にすればもっと面白かったのではないかと思った次第。
本作、続編制作検討されているようでデンゼル・ワシントンも再び起用したいとかいった話があるようですが、前日潭でもやるんでしょうか。確かにフロストのキャラクタ造形は魅力的です。ただ脚本家が設定を使いこなせないようでは宝の持ち腐れというか。。。
ということでAパートの圧倒的な銃撃戦、カーチェイスと尋問シーンとフロストのキャラクタ造形と演技を見るという観点でお勧め出来る一作だと思います。