2018年4月19日木曜日

劇場版「名探偵コナン」公安警察の正義とは?

テレビも映画も観た事はない状態で観た。公安警察ものはミステリー小説でゼロなど取り上げた作品は読んでいる。
この作品は公安警察の捜査手法や警察庁、警視庁、検察庁の各公安部対立関係は描くが公安部が何を捜査対象として活動しているのかは明かさない。
作りは人気警察ドラマ「相棒」に近いそうですが(こちらもほとんど未見)あちらは大人向け。こちらは子供向けのため殺人事件など捜査する刑事警察と対極の思想や防諜に絡んだ話は一切触れずに刑事司法手続きについて子どもにも理解できるように丁寧な説明が重ねられている。送検されて衝撃が走るとか久しぶりに見た気がする。

とは言え欠点も多い。致命的なのはやはり公安警察を軸に据えた事だろう。
公安警察が協力者を抱える事、またシレッとここは流してましたが警察庁公安部裏組織がこれを把握している事を触れたりしている。
問題はその捜査目的が日本のため、正義のためにされている事。公安捜査は嫌がらせだったり、転び公妨といった捜査対象(過激派などとされる)の活動を妨害する事が主眼で立件は早々しないと言われている。
そのような刑事警察と対極のやり方を取る組織の正義とはなんなのか。子ども向けに触れられるような話ではなく本作では「日本のため」「みんなのため」という右寄り・多数派の正義が語られる。
冒頭でも統合型リゾート(賭博)が平然と語られていて今の世相に迎合した設定で描かれた作品だと言える。

ウィルスによるPC遠隔操作事件、なんでもできちゃうIoT、はやぶさモチーフなのにNASAモデルの米宇宙機関の火星探査機白鳥など色々と要素は豊富。

白鳥に関しては何故か常時4基エンジンが噴射され(はやぶさは4基のうち最大3基運用が基本)、はやぶさ当初構想では大気圏突入はカプセルのみで本体は軌道に止めて噴射剤など探査機の条件が揃えば新ミッション構想するプランもあった事が無視されて探査機本体ごと再突入している。
再突入カプセルは落下傘で着地させるためカプセルだけでも減速はしている。
また本体も軽い。なのでパラシュートが開かなくても質量爆弾としては機能しないと思われる。
考証したのかと聞きたくなる杜撰さだった。

大人向けの設定を入れようとした試みは分かる。
ただもっとビターにして「白鳥」やIoT要素はカットして他の表現にすべきだったのではないか(なんて事したら相棒になっちゃうか)。

政府に対して迎合的な設定は正直萎えた事は指摘したい。