3月10日(日)に3D吹替版で見てきました。
ネタバレあります。
あらすじ
オープニングは白黒でスクエアに近いフォーマットでスタート。
女たらしの奇術師が男に追いかけられて熱気球で逃走しようとしたら竜巻に巻き込まれて、不思議な土地に不時着。そこは国王を失った国で王が最後に言い残した「オズという魔法使いが王としてやってくる」という言葉だけ残されていた。金がありふれてあrという話を聞いて奇術師は俄然やる気になるがそこには思いがけないハードルがあった……という物語。
救世主願望から自ら勝ち取る物語への転換
一般大衆は王の降臨による救済を待っているというのは救世主願望。ただそれに見合った対価が最初はよく見えず。まず良い魔女側についているのは血を以て購う事が禁じられた部族が主体になっていて、武装組織は悪い魔女が持っている飛行部族と悪い魔女側についている正規軍しかいない。
悪い魔女側は何故か良い魔女支持側の民衆攻撃程度しか行っていない。これは結界で守られた小城に非武装民族が集まっていたからというのが描写されている。
この作品、民衆側の救世主願望が繰り返し出てくる。ただ何もしないつもりではなく向いていないとしかいいようがない事情も語られ、それに対してエジソンを尊敬する奇術師が奇術師らしい奇策を授けて打開するという展開。おたがい微妙に形勢が固定されていた状態のところに「魔術師」降臨によってバランスが崩れて一気に流動化したようにも見えます。
奇術師にみる大人向け/子供向け演出
どうも本作の脚本は描いていないところの設定もしっかりしているようでそれなりの説得力はあるなと。一番わかりやすいのは女性への手の早さで冒頭はどこで父親?を怒らせるような事していたんだよと。また最初に出会った魔女もさっさと手を出していたとしか思えない展開。但しこういうのは大人の濁った心で見ると浮かび上がる部分であり、面と向かっての描写はありません。このあたりが本作の大人向け/子供向けの二重構造性になっていると思う。
CGの意外な使い方
陶器の女の子を助け出して接着剤で直すというシーン。今時のCGの進化の歴史を考えると動物や髪の毛といった生体をリアルに描き出す事に重点が置かれて来た訳ですが、この場合は陶器の人形に生命を吹き込むという試みを行っていて、これが良い。可憐な少女として生命を吹き込んでいて要所要所で活躍。なにせ陶器なのでうかつな事をしたら割れてしまうじゃないかというハラハラ感を狙ったのか、それが見事に当たっていたのは脚本、演出の勝利でしょう。個人的には本作最大の評価ポイントです。
吹替と3D
3Dは奥行き感を与えるには効果的ですが、広角の状態でやると立て看板がならんでいるようにしか見えません。本作もどちらかというとそういうレイアウトが多く辟易。飛び出す絵本を越えていないかなと。時間の関係で3D吹替で見ましたがちょっと失敗した感はあります。
吹替ですが、総じて良かったと思うのですが、この種の作品の歌まで吹き替えるのはどうかなと。音楽なので原曲そのままで歌詞をひらがなでもいいので表示した方が良いと思うのですが、子供向けという面があってこうしたのかな。ちょっと残念。
子供が面白がるかどうか?
奇術師のある面に大人向け、子供向けの二重性のある演出がされていたりする訳ですがストーリーライン自体は子供向けで組まれているので一本道であり、ジェットコースター的な展開で思わぬハプニングもない展開に仕上がっています。問題はこのようなストーリーで子供が喜んで見るのかどうか。自分の幼少期を思い出すと海外ミステリーや刑事ドラマを喜んでみていた口なので、子供にもちょっと物足りないような気がしますがどうなんでしょうね。このあたりはちょっと興味があります。