1.童話パート吹奏楽版OSTと劇中の吹奏楽演奏シーンリスト
- 童話パート:「物語の始まり」(第3楽章ベース)
- 希美とみぞれの第3楽章導入部ソロ
- 童話パート:「繰り返される日々」(第1楽章2分40秒付近〜+第2楽章ベース。ピアノ含む)
- 童話パート:「リズと少女の世界」(第1楽章ベース。ピアノ含む)
- 童話パート:OST「リズと青い鳥」フルバージョン第3楽章(冒頭部〜2分50秒)
- みぞれ:ツェルニー30番練習曲(Op.849) No.3(テンポを落としている)
- みぞれ・梨々花:Clemente Salviani オーボエ練習曲第1巻第7番(みぞれオーボエ奏者の大久保さんのブログによるとSalviani練習曲集1、2巻のいずれかの曲で録音という流れで第1巻第7番が当日決定したとの事)
- 合奏練習:第3楽章。滝先生による希美、みぞれへの指導
- 合奏練習:第3楽章。オーボエとフルートソロを聞いていいと思わない橋本先生
- 麗奈と久美子による第3楽章導入部+中盤以降のオーボエソロ途中まで
- 童話パート&希美とみぞれの事態理解:希美とみぞれの解釈の反転が起きた時の童話世界では吹奏楽曲ではなく牛尾憲輔OST楽曲が鳴っていた訳ですが、これは本来第4楽章が演奏されていてもおかしくない所だけど希美とみぞれの自信への気付きであって童話パートを描いたものではないからこうしたともとれそう。
- 合奏練習:みぞれ「第3楽章通しで演ってもいいですか?」(コンクール編曲版第3楽章。OST収録音源は3分5秒前後に対して劇中演奏は3分25秒とテンポが少し遅い)
- 希美とみぞれの会話シーンの背景音として第4楽章の金管パート練習の音が鳴っている事があるので全楽章とも何かしら登場はしている。
- 童話パートの吹奏楽曲ベースのOST曲は別作曲家による編曲版でフルート、オーボエは男性奏者が演奏。ピアノが「繰り返しの日々」「リズと少女の世界」で使われており楽器編成、奏者とも「北宇治高吹奏楽部」とは異なる。
- みぞれのオーボエソロは冒頭部のみ複数回出てくるが、中盤以降のオーボエソロは第3楽章通し演奏まで温存されている。
- 第3楽章フルバージョンから落とされた部分にフルートソロがリードしてオーボエがフォローする掛け合いがある。こういった希美から奪われた音楽は例えば生物室でのみぞれとの対話の後出てくる仲良く飛ぶ二羽の白い鳥のような部分で表現されているのではないか。
- みぞれと梨々花のオーボエ二重奏練習曲は実在。楽譜は検索すると出てくるがYou Tubeなどに音源はない。
映画第3楽章通し
- 1:20前後:最初のオーボエソロ開始(OSTコンクール編曲版第3楽章 +6秒)
- 2:52前後:希美崩壊
- 2:56前後:最後のオーボエソロ開始(+17秒)
- 3:25前後:演奏終了(+19秒)
- 1:14前後:最初のオーボエソロ開始
- 2:39前後:最後のオーボエソロ開始
- 3:06前後:演奏終了
第3楽章のオーボエ、フルートソロ掛け合いのパートが執拗に繰り返されるが、みぞれと希美の演奏の微妙な息の合わない様子を対比させる意図を感じる。アバンタイトルでもまず童話パートでの編曲版で理想的な第3楽章冒頭部を聞かされた上で、希美とみぞれのお遊びのピッチのずれた第3楽章ソロを聞かされる。そしてこの演奏は麗奈と久美子のソロ演奏とまで対比させるようになっていて希美とみぞれの演奏が出来てない様子があぶりだされる。結局その息の合わなさは最後希美がみぞれの演奏に圧倒される故に一度も解消された演奏を聞く事はない。これは本編新作で解決した演奏を聞けるのだろうか?
この点は本作が本編においてどう位置付けられるか次第だろう。
この点は本作が本編においてどう位置付けられるか次第だろう。
2.牛尾憲輔作曲のOST楽曲
3.Homecomings "Songbirds"
4.オリジナルサウンドトラック “girls,dance,staircase”
5.OSTアルバムに含まれない曲
- 牛尾憲輔氏の音楽は「聲の形」に引き続き型にはまらない作品に寄り添った作りに徹している。みぞれが階段に座って希美を待っているシーンなんて、何それですよ。一音一音が彼女とシンクロしている。
- 曲のいくつかは楽器として足音や水飲み器、鳥の鳴き声、風の音から果てはオープンリールデッキのヘッド操作音などの効果音がそのまま取り入れられていてOSTにそのまま収録されている。これは音楽と映像と徹底的に意図が調整されている証でもある。
- オープンリールデッキの音は2回使われている(みぞれが生物室で新山先生と演奏について悩みを話していた時、希美が生物室を出て廊下を歩いている時)。これは二人それぞれの気付きを表しているように見える。これが効果音ではなくOST楽曲の一部として録音されているところが本作の特異さを表している点だろう。
- 剣崎さん登場のdoublelead,girlsシリーズはvariationsだった。主旋律を合わせつつ情景に合わせて楽器など構成が変わっている。剣崎さんのみぞれ先輩攻略のコミカルな記録でもある
- flute,girlsシリーズも同様でこちらはフルートパート2年生のつぼみがネタを出し1年生(メガネ)が同じクラスの生物研究部の彼氏と付き合うがというコメディが展開される。
- エンドロールではまず山田監督作詞・牛尾憲輔作曲の歌曲が入ってきてシームレスにHomecomings「Songbirds」に切り替わり二人が未来へと進む事への予感を強めた。うまい構成。
3.Homecomings "Songbirds"
- 京都で活動するバンド Homecomings の楽曲は本作用に書き下ろされたもので秋にリリースされた「WHALE LIVINGS」にも収録された。
- 日本語歌詞を検討していたが監督から過去のHomecomingsの通りでというオーダーがあり英語歌詞となったという。そういう経緯のためか分かりませんが「WHALE LIVINGS」は本曲以外日本語歌詞となった。
4.オリジナルサウンドトラック “girls,dance,staircase”
- オリジナルサウンドトラックアルバム "girls,dance,staircase" 全47曲(但し曲名に*が含まれる曲は映画未使用)
- 「Songbirds」以外の大半の楽曲が含まれているが、演技が付けられた吹奏楽曲演奏は含まれていない。
- 吹奏楽曲は「リズと青い鳥」吹奏楽曲とコンクール編曲バージョンを収録。但し劇中演奏音源は含まれない。
- 絵本パートの楽曲は吹奏楽曲の旋律を入れた上でピアノが足されている。
- みぞれがオーボエのリードを口にした瞬間から始まる青い少女へのリズの疑念の童話パートは第3楽章フルバージョンの抜粋(冒頭部から約2分50秒)が使われていると推定。
5.OSTアルバムに含まれない曲
- "reflexion,andante,you(last 4 steps)":Blu-ray隠しトラックとして収録(DVDも収録?)
- "blue,silence,fragments":特報で使用された楽曲。牛尾憲輔氏のSoundCloudで楽曲のみ公開もされた
6.OST “girls,dance,staircase” 曲名単語集
- glass:ガラス、鏡、拡大レンズ、携帯望遠鏡、晴雨計、温度計、砂時計、ダイヤモンド
- chair:オーケストラ奏者の席。複数形なので希美、みぞれ二人の席の事だろう。
- reminiscence:追憶、回想
- reflexion:反射、反響、反映、影響
- allegretto:やや早く
- décalcomanie:転写法(仏語)。紙に絵の具を塗って折って転写する技法。作中でも使われている手法。山田尚子監督インタビューでは水面にインクなど垂らして紙に写し取る手法の意との事。
- kadenz:(独語)a.カデンツ,終止法(終止を導く旋律型あるいは和音の列)/b.カデンツァ(終曲部の技巧的独奏部)
- staircase:階段