ローマを舞台にした3つの物語が並行して進む。その一つ一つはお互いに影響は与えないものの展開にリズムがあって響き合うような作り。
その中の一つである田舎から出て来た若夫婦の冒険物語。二人ともあるきっかけで別々に行動するのですが、本人の意思と関係なく流されて行く様があり得るのかというような作りで、リアリティラインのオフサイドだよなと思うのですが、その事で引き起こされた後に物語が描かれていて、そこまで話が進むと納得してしまう。このあたりの不思議さはまるで魔法。
他の二つの物語も一種の不条理もの。かたや突如有名人、セレブになってしまった平凡な中年ビジネスパースン。もう一方はエレン・ペイジが小悪魔的な魅力を持つ売れない女優(!)として登場してジェシー・アイゼンバーグを誘惑する恋愛コメディ。
分かりやすい構図でどこが不条理なのか問題があるんですがこれはアレック・ボールドウィンの登場した時は実在人物だったはずなのに、途中からまるで誰かの心の中にいる悪魔みたいな役でいいのかという事で説明可能です。
一つ一つはシンプルですが、これら3つの物語をリズムよく描く事で、都市ではいろいろな事が起きているんだなと思わせる事に成功。そしてわりといたたまれない目に遭う登場人物が意出てくる訳ですが、その周りの人々の理解があって救われる。
ウディ・アレン監督作品はきちんと押さえて行かねば、そう思わされた一作でした。