2013年2月5日火曜日

[映画] マリーゴールドホテルで会いましょう

ジュディ・デンチが出ているという理由で気になって2013年2月4日のレイトショーでみてきました。
ネタバレあります。






本作、俳優陣が魅力的でした。画(短いカットをリズムよくつないでいた)はインドの風俗を上手く映していたように思えます。

脚本ですが、原作だと何故マリーゴールドホテルなのかんついて延々と相応の理由を積み上げて話をスタートさせているのですが、本作の場合は冒頭で移住を決意したそれぞれの理由が語られます。原作冒頭で一番印象に残ったのはミュリエル(マギー・スミス)なんですが、原作由来の演出が反映されているのは彼女だけかな?(原作は途中で読むのを保留中。映画も見たので再開したいなと)
面白いエピソードは多いです。例えばイヴリン(ジュディ・デンチ)がコールセンターで英国人に対して上手い会話で話を聞いてもらえるようにするテクニックを伝授しようとして、如何にマニュアルライクな対応が相手を傷付けるのか、まず話を聞いて上げて欲しい。話はそれからだというシーンがありますが、これはイヴインが夫を失ってから受けた仕打ちに起因。インドのコールセンターが世界を相手にビジネスしているという事実を上手く下敷きにして話を広げようとしていて良いのですが、この伏線はそこまでになっており広がりがありません。
そうこうしているうちにグレアムの過去、ミュリエルと不可触民との出会い、ノーマンとマッジの恋のハンティング(でいいのか?)、ソニーと彼女と母親間のバトルとホテルの行方といった話が盛り込まれていて時間不足じゃないかと。特にソニーの恋の話はそもそもソニーの経営センスが低いせいでイヴリンたちの物語とバランスが取れていません。
原作から大きく話を変えるのであれば、話の視点をもっとイヴリン寄りにして時間配分も大きくした方が面白い作品になったのではないかと思うのですが。辛口ですかね?

最後、ミュリエルがある異能を発揮して救うシーンがあります。ちゃんと何をしているのか、どういうスキルを持った女性なのかは語られるシーンがあるのですが、「経営」を描くに際して帳簿をめくりPCを叩くというシーン以上のものがないのが残念。
この問題「武士の家計簿」でも同じような感じ。印象操作でしか表現出来ないものなのでしょうか。例えばミュリエルが過去を回想して「!」と俄然PCに向かうといった描写でも随分説得力が違うのではないでしょうか。

最後のバイクシーン。ダグラス(ビル・ナイ)とイヴリンが二人で乗って疾走するシーンがあるのですが、ここでのイヴリンは片手で正確に敵を狙撃していてさすが007のMだと……という冗談はさておき、にこやかにバイクで走り去るソニーと彼女の二人に対してイヴリンの笑顔と好対照のダグラスの必死な顔が非常に面白い演出でした。あれはあれでありかなと。