2012年6月16日土曜日

名古屋フィルハーモニー交響楽団第392回定期演奏会<ある東欧の物語>


日時:2012年6月15日(土)16時〜
会場:愛知県芸術劇場 コンサートホール
指揮:下野竜也
管弦楽:名古屋フィルハーモニー管弦楽団


スメタナ: 交響詩『ブラニーク』
(連作交響詩『わが祖国』より第6曲)
モーツァルト: 交響曲第38番ニ長調 K.504『プラハ』
マルティヌー: リディツェ追悼
フサ: プラハ1968年のための音楽



下野竜也さんは以前から聞いてみたいと思っていた指揮者の筆頭。ようやく聞けました。
昨年からだと思いますが、名フィルは都市テーマシリーズを展開。ただ今期違って見えるのは昔からのファン層をケアする鉄板楽曲に加えて、現代曲やあまり演奏機会がない作曲家に光を当てている点。昨年はセントラル愛知が攻めているように思っていましたが今期は毎回勝負してくる名フィルが強い。

今回のプログラムは下野氏の組み立てとの事。
休憩後の後半楽曲はマルティヌー「リディツェ追悼」は英・チェコ合同のドイツ高官暗殺作戦の報復で虐殺されたリディツェを追悼する目的で書かれた作品。
フサ「プラハ1968年のための音楽」はチェコの春の後起きたソ連軍によるプラハ侵攻をテーマとした吹奏楽曲のをオーケストレーションしたもの。
いずれも事件が起きた時に作曲家がその事件に寄り添う立場を鮮明にしたテーマ性が前面に出ています。
これら楽曲を終えた後の演奏から出た心からの感動とそのテーマ故の空気の重さは強烈。何回か呼び戻された下野さんが拍手の途中で出て行かれた観客の方に「まだあります」と声を掛けられてすぐアンコールへ。「バッハのコーラル」をやると告げられて演奏されたのがレーガー編曲の『おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け』BWV.622の弦楽版。この楽曲で重苦しい空気から救われました。いや、拍手中に帰られた人の事を考えると最初からプログラムに載せておくべきアンコールだと思います。


下野さんの指揮法は動きが激しいもの。この日の名フィルはこの指揮に見事に追従して、後半の演奏を成功させていた。この日の演奏にはこの言葉が似つかわしい。「Bravo!」