2010年4月18日日曜日

マイレージ・マイライフ

4月4日(日)9時の回で見てきました。公開から少し立っているせいか最寄の映画館でかかっているのは2館だけ。何故かその2軒は近いんですよね。。。不思議な配給だなぁと思ったり。


ジョージ・グルーニー扮する主人公はリストラ代行会社のおそらくは重役。アメリカン航空のマイレージカード(当然最上級のグレード)などを手にアメリカ全土を飛び歩く日々。行きずりの恋人、妹の結婚、会社のビジネスモデルを革新するプランを持ち込んだ新卒(考えてみると院ぐらいじゃないとおかしい気がする)の女性社員のトレーナーとして帯同させるという軸で物語が進みます。

アメリカの映画らしくリストラ自体に対する否定はありません。作中でリストラされる人々が「子供が喘息で治療費が掛かるんだ」という話が出てきますが、このあたりはオバマ政権を揺るがしている医療保険改革法でようやく実現された国民皆保険制度が何故長年に渡って実現されなかったのか(クリントン政権時代にヒラリー現国務長官も挑戦して失敗していますね)について理解すると、簡単にリストラされてたまるかという出演者たちの声が理解しやすくなると思います。
#この件、日本の国民健康保険制度の場合、「被保険者資格証明書」問題があるのであまり他所の国の事は言えなくなってきています。この国民健康保険問題は、4月2日のTBSラジオ「キラ☆キラ」Podcastの町山さんのパートが詳しいのでお勧めです。

脚本ですが、奇妙な点はあるんですよね。本編最後の方で起きる異変ってそのシステムでのトラブルではないのに中止されたりするのは少々ご都合主義ではないかと。あと姉貴の極悪非道な発言。主人公はよくミッションを果たした後立ち去らなかったなぁと思う私は変でしょうか。

いくつかのシーンを経て、最後に主人公は発着運航電光掲示板を見上げて何か思うところでエンディング。
再び出張フライトの日々。1000万マイルのマイレージという目標を失った主人公が何を思ったのか。最後は飛行機内から見た空の風景がエンドロールに流れて終了。

垣根涼介著『君たちに明日はない』シリーズがありますが、こちらは日本のリストラ代行会社に勤務する社員の物語と類似点があります。ただ、こちらは主人公を軸にリストラをせまられた人々を描写する事でいろいろな物語を生み出す連作短編集形式なのでかなりこじつけではありますが。
こちらの主人公も基本的には説得話法でしたが、シリーズが進むにつれてリストラされた人がリスタート出来るように人材派遣事業を提案して事業化を始めるストーリーが出てきます。
『マイレージ・マイライフ』も基本は説得話法。新しい人生のチャレンジを提案したりしていますが、口だけで言い逃れているだけのように見えます。(就職時に解雇自由条件で締結しているせいにせよ)
主人公がプライベート面で変化、成長があったとは思うのですが、ビジネス面は元のまま。この点については何を描きたかったのだろうと思わざるを得ませんでした。