2017年11月26日日曜日

映画「この世界の片隅に」新DCP版改変点について

 「この世界の片隅に」はDCP(デジタルシネマ)でシネコンなどに提供されています。このマスターは封切り時より1年間使われてきましたが2017年11月12日からブルーレイ版などで施されたリテイクを反映した新DCPに変更されています。

 筆者もイオンシネマ豊田KiTARAでこれを見る機会を得ましたので従来の版からの変更点について気付いた点をまとめてみた。(ここも変わってないか?と思った箇所も多いのですがある程度確信を持てたものだけ触れています)

物語の核心部について触れている場合がありますので映画をご覧になった方のみお読み下さい。









 

1.映画本編全般にわたる変更点

  • 北條家かまどの付け木:着火剤(硫黄)が端に塗布されているが、これが分かりやすく描き直されている。
  • 黒村時計店の置き時計:時針など描き直されていて正確な時刻が読み取れるようになっている。
  • 呉港湾の軍艦:駆逐艦など小型艦艇のディティールが増しているように見える。


2.特定シーンでの変更点

  • 昭和19年7月:防空壕の柱。黒村家の家族背比べの傷が読み取りやすいように変更されている。
  • 昭和19年8月:盆灯籠の紙の色が白単色→白色だが漂白されてない感じの紙が混じるように改められている?
  • 昭和19年12月:哲が北條家を訪問したのは変更前は17時30分で最後に周作と話をしたのは21時50分頃の出来事として描かれていたように見えた。
    新DCP版では、哲が北條家に着いたのは17時30分前後。居間でお茶を振る舞われたのは18時25分頃。径子さんと晴美ちゃん、サンさんが居間を離れたのは20時30分過ぎとみられる。そして周作と哲が話をしたのはその後5分程度だったように改められた。
  • 昭和20年2月:鬼イチャンの階級:陸軍兵長→陸軍上等兵に修正。おそらく二等兵で戦死して二階級特進したという設定に修正されたと推定。
  • 昭和20年6月22日:晴美ちゃんのランドセル。径子さんと別れる直前に晴美ちゃんの背中から姿を消していたが、変更後は径子さんと一緒の間は晴美ちゃんが背負っているように改められた。
  • 呉海軍病院の病室。晴美ちゃんに話しかけた掃海特務艇第16号乗員の傷病兵の艦内帽のストライプが2本(士官)→1本(下士官)に修正された。
  • 呉海軍工廠の爆撃後の空に電波攪乱用の細長い紙と飛行機雲が書き足された?
  • 呉夜間空襲:北條家に落ちてきた焼夷弾は尾部の吹き流しと弾体が見えるように描かれていたが吹き流しだけ多少はっきり見えるように修正された?
    呉市街地で最初に火災が起きたのが朝日町方向になったように変更されている?
  • 昭和20年7月:妹すみちゃんを送っていった時にすずさんの目に入った呉市長布告が読みやすいように修正された?
  • 昭和21年時期不明:広島市上空でDDTを散布する機体がB−29→C−46かC−47(いずれも輸送機)に変更されている。
  • エンドロール:リテイクが大量に入った影響か一部大きく追加変更されている。

 呉に入港中の軍艦なども変更が加えられているんじゃないかという気がしますが、確信が持てないので上記では挙げてません。もっと変更された点はあるのだろうとは思ってます。そして、これが拡張版に備えた準備なのかなと。
拡張版でどう変わるのか楽しみに待ちたいと思います。