2016年10月13日木曜日

映画「聲の形」と字幕版上映(ネタバレなし)

祝:大垣コロナシネマワールド
10月8日舞台挨拶上映
(山田監督・入野自由さん)
 「地元唯一のシネコンとして推します」宣言されていて「聲の形」上映回数が大変多いシネコンです。一番大きな1番スクリーンも割り当てられているので、こちらの鑑賞はお勧め。山田監督と将也役の入野自由さんが来大垣というのは、良かったです。あれだけ回していて何もないというのはさみしいなあと思ってましたので


 映画「聲の形」の字幕版が第2週は全館、第3週以降実施館が入れ替わりながら上映が継続されています。(字幕上映実施館ニュースリリース:10月1日〜7日10月8日〜14日10月15日〜21日10月22日〜28日10月29日〜11月4日11月5日〜11日。最新情報は公式サイトにて確認下さい。)
 字幕版を実際に見てみましたが、洋画の字幕に話者と若干環境音説明が入るだけで特別なものではありません。字幕を邪魔と思わない人であれば普通に鑑賞できるものです。そして誰が話をしているのか(モブキャラも含む)、環境音の説明は物語理解のヒントにもなるので字幕版は大変おすすめです。



1.何故邦画で字幕版上映が増えないのか
 この件は積極的に字幕上映を行われている立川シネマシティの方が実情を解説する記事を書かれていますが、「君の名は。」字幕上映は通常回が満席なのに空席が出るという状況があったそうです。
 制作会社、興行側の問題だと批判された方がいますが、現実に字幕上映を忌避する観客が多いと興行側でやりたくても出来ません。

 これは我々観客が変わらないと改善はされませんし、出来ません。興行側にアピールはその次のステップの話ですが、観客が変わればそんなのいらない話でしょう。



2.「聲の形」字幕版の良さ
 「聲の形」字幕版の場合、話している人が思ってもなかった人だったり、その環境音は何なのかはっきりしたりと通常回では聞き落としている情報の確認が出来ます。
 なおネタバレな字幕があるのではというよく分からない危惧を見かけましたが、手話だけの部分には字幕は付きませんので、そんな心配は無用です。(というかどこでそんな思い込みが出たのかと思う)


3.余談
(1)手話をどう見せるか
 字幕とは関係しませんが、将也や結弦、硝子が一度音声としても示した手話は2回目以降は手話のみで通していて、なんとなくながら手話の意味を理解していけるように演出配慮が施されています。祖母の手話が示された後に効果的にその言葉が交わされるシーンがあります。そういう工夫の積み重ねの映画でもあるので、手話の意味を把握しながら見ると面白いです。

(2)音楽について
 OPのThe Who "My Generation"、エンディングのaiko "恋をしたのは" について否定的な意見を見かけます。
 "My Generation"では物語は止まってません。あれは将也が硝子と出会う前の様子をOPの間に示したものです。原作だと将也が如何に退屈を嫌っていたか描いていますが、そのパートにきちんと対応してます。
 "恋をしたのは"は本編の重さに対する観客への厄落としとして大変良い曲だと思います。本編音楽に対しては最後をピアノの音を合わせてきたのはリスペクトなのかなとは勝手に思った次第。

(3)ディスコミュニケーションの痛み
 大変重い作品ですが、映画化に際して週刊連載だった原作の複雑な方程式を整理して将也と硝子(主に将也)に接近して撮影したディスコミュニケーションを巡る物語となっている。彼らの痛みが伝わってくるとても良い作品だと思います。音楽、音響も素晴らしいので是非映画館で見られることをお勧めします。