2014年12月24日水曜日

[映画] ベイマックスにみる映画の宣伝展開

ベイマックス、見ましたが時間制約の中でこれでもかと話の要素を盛り込んだヒーロー誕生譚としてよく出来た作品だと思います。

本作のタイトル、予告編の構成についての分析を読んだのですが、なにかずれてるなと思ったので少し意見をまとめてみます。


タイトル、原題は「BIG HERO 6」ですが、これが邦題では「ベイマックス」に変えられています。マーベル原作なので原題は直球。邦題は大きな役割を果たすロボットの名前に変更され、ポスターは白いベイマックスがフューチャーされてヒーローとしての戦いを想起させるイラストは使われてません。
予告編もベイマックスを改造するシーンでは本編にないコミカルな映像が使われていて戦うシーンの映像は使用していません。本編で起きるアクションシーンの大半は隠された形になってます。

この冬の子供向け映画は多くの作品が激突していてそれら映画の入場時間直前になるとロビーは大混雑してます。
「アナと雪の女王」はこちらのカテゴリーに含まれる映画になりましたが、これは「雪の女王」のCGアニメーション映画化であり、映画の性格を決定づけた名曲が物語自体作り替えてさらに日本でも子供たちにその点が訴求出来ると判断させるに足るものだった事は大きいと思います。でないと宣伝段階での「Let it go」の露出戦略は理解がしにくい。

では「ベイマックス」がそのような子供狙いの宣伝展開だったかというとそこまではないですね。どちらかといえば両親が興味を持って子供と一緒に見られるという考え方で宣伝展開されていると思いますし、予告編とのキャップからもっと話に奥行きがあるんだと知ってもらうことで広がりを期待する方法論を取ったように見えます。

最初から子供が見に行きたい映画としてプッシュするならアクションシーンを前面に押し出して行けばいいはずですが、本作でその手を取らなかったのは受け入れられるには大人を巻き込まないと成立しないという計算はあったんじゃないでしょうか。アメリカのキャラクターデザイン、日本とはまるで違いますし「インクレディブル・ハルク」の不発考えれば無理からぬ判断だろうと思います。

なお有名タレントを利用したテレビ宣伝はそもそも宣伝費が限られる中でテレビ局主導映画が番組で取り上げられる事に対する低コストで出来る宣伝手法だと思います。またテレビを使った宣伝はテレビを見る人に対して行うものなので、それ以上の意味付けして論じても意味はないですね。映画を見に行く層向けじゃないというより、テレビをよく見る層への宣伝と判断した方が良い。映画配給会社もテレビ宣伝だけでなく映画専門誌や映画専門サイトを通じて情報発信している訳で、何故そこでわざわざヘビーな観客を相手にしてない、されてないなどという言説を持ち出すのか、その自虐的観客観はいい加減やめませんか。
本当にそうなら映画館のポイントやマイレージ制度なんて成り立たないですよね。あまり否定的に解釈する必要ないと思いますが、どうでしょう?


追記:妖怪ウォッチとベイマックスが年末年始公開映画として当たっていますが、数字の中身を見ると妖怪ウォッチは子供料金客が多いようで客単価は低く出ているようです。ベイマックスは年齢層が高くなる分高めに推移しており、「アナ雪」と違った当たり方になっているように見えます。
映画興行成績 : 「ベイマックス」が首位に浮上 公開3週目で「妖怪ウォッチ」超え 
「ベイマックス」が土日2日間で約50万5100人を動員し、前週1位だった劇場版アニメ「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」を抑えて首位に浮上した。2日間の興行収入は約6億6500万円。累計動員数は326万人、累計興行収入も41億円を突破した。
 「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」は、小学生を中心にゲームやアニメが大ヒット中の「妖怪ウォッチ」の初の劇場版アニメ。志村けんさんや「AKB48」の島崎遥香さん、歌舞伎俳優の片岡愛之助さんの出演も話題で、2位に順位を下げたものの、土日2日間で動員数は約43万1300人、興行収入は約5億600万円。累計興行収入は約54億円に達し、2014年12月20日の公開から16日間で50億円を突破した。