2014年6月21日土曜日

[映画] ポリス・ストーリー レジェンド

ふと思い立って見てきました。
公開から日が経ったレイトショーとしてはそこそこの入り。



私自身、これまでジャッキー・チェン映画はさほどのファンではありません。映画がコミカル路線でエンドロールが映画世界の余韻をつぶすという印象があってあまり見ておらず、本作の前に見たのは「1911」という程度。本作自体シリアス路線であり、ジャッキー・チェンが撮ってきた映画の路線とは毛色が異なります。ある意味ジャッキー・チェンの本道といえる映画は本作が初めて。

本作は当初「ダイハード」的な物語かと思わせておいて、犯人が単に人質立てこもり犯ではなくある目的に対して殉じようとする人物として描かれます。またその犯人に対してジャッキー・チェンが演ずるジョン刑事も事件解決に対してある信念を持って臨んでいる事が描かれる。

犯人が警察と携帯電話で要求を出している際、ジョン刑事には聞かせたくなく出て行くというシーンがありますが、聞かせたくない理由はあるので納得。また映画はジョン刑事の視点に固定されていたりと大変論理的な構成をされていると思います。
(昨今のアクション映画は神視点か視点が不定だったりしますから。謎を作る気がないんだよねとはよく思う)

あと本作が優れているのは犯人の信念がぶれない所でしょう。その事で最後のシーンまで緊張感を保つ事が出来ている。
逆に警察側はジョン刑事の信念に対して最初は反発していた警察官も誤りを認めてきちんと手を打つ。きちんと理由を描いている所が多く作中リアリティの高い位置で保っている。

老いたジャッキー・チェンが何を持ってアクションを見せるか、というと敵にいいように翻弄されてしまう中でなんとか勝ちをつかむという展開でしょうか。
老いた代わりに何を得たか。カンフーの天才的使い手、体を張った本人スタント俳優ではなく、一人の刑事、一人娘に対してどう接したら良いかと困っている父親ではないでしょうか。
これまでのジャッキー・チェン映画とは全く異なるキャラクター像であり、ファンからみてどうなんだろうかと思うところはありますが、私はもっとこういうジャッキー・チェンの映画が見たい。本作での存在感は大変素晴らしかった。
アクターとしてのジャッキー・チェンの映画をもっと見たい。そう思える映画でした。

追記:テーマ設定、イーストウッド主演・監督「グラントリノ」に似ていますね。自分たちの過去作を踏まえて映画で描くものは何かというところで出てきた答なのだと思います。