2014年3月9日日曜日

セントラル愛知交響楽団第132回定期演奏会「春夜いま全身タクトなす結尾(コーダ)」

セントラル愛知交響楽団第132回定期演奏会「春夜いま全身タクトなす結尾(コーダ)」
日時:2014年3月7日(金)18:45〜
会場:三井住友海上しらかわホール
管弦楽:セントラル愛知交響楽団
指揮:齋藤 一郎(セントラル愛知交響楽団常任指揮者)

プログラム:
 1. バツェヴィチ:弦楽オーケストラのための協奏曲(約15分)
 2. モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調KV.543(約30分)
   休憩(15分)
 3. バルトーク:管弦楽のための協奏曲(約37分)


例によって会場入りは10分切っていたという冷や汗もの。会社から下手に近いので、これが芸文だったらそうはいかないなと思いつつ、当日席の表を見せて頂いたら随分詰まっている!という事で奮発してかぶりつきで見られそうなC列の席を確保。それでも税別4,000円というのはやはりセントラル愛知のチケット、安過ぎると思う。(ありがたいですが)

1曲目はバツェヴィチの弦楽オーケストラのための協奏曲。バツェヴィチはポーランドの女性奏者・作曲家だそうで本作は1948年の作品。
セントラル愛知は弦楽セクションが中核にある楽団でしょう。その弦楽セクションの演奏力を魅せるには最適な選曲だったと思います。齋藤さんのタクトが弦楽を大きく鳴らす。これが私がこのオケの定期に通わせた最大の原動力だったかなと。(調べてみたら2011年11月から9回聞いていた。うち1回だけ芸文コンサートホールで後は全てしらかわホール)

2曲目はモーツァルトの交響曲第39番。今回前後が第二次世界大戦中〜戦後しばらくという比較的新しい時代からの選曲だったので、ここで齋藤さんがもっとやりたかったというモーツァルトから1曲選ばれたというところでしょうか。1曲目が弦楽セクションの技巧を凝らした演奏を引き出したのに対して、セントラル愛知の合奏の魅力をクローズアップした演奏。好対照の展開でプログラミングの妙だと思った。

休憩。以外に席を立たない人が多いなと思いつつホワイエで一休みして5分前のベルと共に会場内へ戻る。しらかわホールの1階席、舞台との距離がぜんぜんない。相撲でいえば砂かぶりするような近い席。2階席だとミスクチャーされた音と舞台上の奏者の演奏を見て楽しむという2つの楽しみがありますが、1階席の場合は何はともあれ音の解像度の高さが素晴らしい。1st VnとViola、Cell、Doublebassといった弦楽セクションのそれぞれの音が聞き分けられる。これは距離が近く舞台がさほど高くないしらかわホールの美点だと思う。

3曲目は今日の最大の演目。バルトーク・ベラの管弦楽のための協奏曲。
バルトーク最晩年の大作。協奏曲とされますが、これは各楽器の見せ所があるからだとされますが破格。交響曲としてみる事も出来ると思いますが5楽章形式であり様々なスタイルの音楽が封じ込められていてやはり破格でしょう。
安定の弦楽は勿論、管楽器セクション、打楽器セクションも見事な演奏。ちょっと危ういときはあったと思いますが、きちんと演奏を押し通していた。
あの小さなしらかわホールであれだけの奏者が乗るのはギリギリのところだったと思います。危うさを秘めた勝負だったと思いますが、齋藤さんとオケが一致団結してバルトークの音楽を演奏してみせた、そういう幸せな時間でした。

前回定期の予習資料に書かれていたようですがバルトークはショスタコーヴィチ批判を批判をしていて、その事は管弦楽のための協奏曲でも風刺されているところ。
興味深いのはバツェヴィチも東欧の演奏家・作曲家であり国の賞を受賞しているところ。東欧の音楽は政治体制上国の保護と影響をもろ受けてしまうところであり、この点でショスタコーヴィチと違いはなかった。
バルトークの管弦楽のための協奏曲の破格さはショスタコーヴィチだとバルトーク存命中は初演中止になっていた交響曲第4番が近いと思う。当然どのような音楽だったかバルトークが知る事はなかったはずですが、もし聞く機会があったとすればどう思ったのだろうかと思ってしまう。案外二人が出会っていれば気があったかも知れない。

終演後鳴り止まない拍手。
齋藤さんの常任最後の演奏会だから来られた人多かったのだろうなと思わせる拍手。
主に2011年と2012年シーズンしか聞けていませんでしたが、11月の日本作曲家特集の回は未だに忘れられない演奏会になっています。これまでありがとうございました。
またセントラル愛知での演奏をされる日を楽しみに待ちたいと思います。