アウトレイジが前半と後半で作品がまるで別物というところが評価出来ず、もともとは見ないつもりでしたが、ついつい。
アウトレイジシリーズは北野監督がやりたいようにやる神視点の映画だと思う。
第1作は前半でヤクザの新しいシノギを「バカヤロー」連呼の中で描き、後半では一方的な暴力の嵐(その力の裏付けは何気に表現されていない)で終わる。
今作は逆襲がテーマ。その逆襲の絵図を描いて振り付けようとした「神」と北野監督の戦いという奇妙な構造がある。北野監督扮する大友は弟分に対して全面的には協力しない。一歩引いた立場を保つ。またそれが可能なように「フィクサー」が設定されて、前作で絶大な力を振るった山王会も手を出せない設定。
まあ、このような設定をすれば何でも出来る。
弟分にしたところで花菱会から杯を貰って(=力を借りて)戦おうと大友に言う。その代償は作中では結局小指飛ばし程度。
前作は前半面白かった訳ですが、そういう要素が本作にはない。結局小指の代償に兵隊の応援を貰ってひたすら山王会を壊して行っただけ。他力本願であり頭戦の要素はない。
この作品映画監督である北野武が「脚本」と最後戦っているようにも見える。その「脚本」とはひたすら裏工作で山王会を潰そうと画策した刑事片岡が象徴。そしてその落とし前が付けられると同時のその後の物語は観客に任されてしまっている。
そのあたりの奇妙な葛藤が本作の一番の面白みだと思う。