2011年11月6日日曜日

[映画] ミッション:8ミニッツ

予告編を見ていてありきたりなタイムトラベル的なにかと思っていたらそんな事はなく思った以上に手の込んだ設定のSF映画でした。お勧めですよ!

TLを眺めていたら結構誉めておられる方が多かったのですが、「ブリッツ」と一緒に誉められた方もいたので戦々恐々。
話の構造としてはある特殊作戦に投入された米陸軍大尉が閉鎖空間に閉じ込められ何回も同じ状況に直面させられるという縦軸のテーマと、何故閉鎖空間に閉じ込められているのかという横軸のテーマの重層構造になっています。
「状況」と大尉が閉じ込められた閉鎖空間、そして大尉に対して命令を下す米空軍大尉と狂信的なプロジェクト責任者だけで話が動いて行くのですが、こういった特殊な世界設定はインセプションと似た面があります。

閉鎖空間と狂信的プロジェクト責任者の存在、あり方は「プリズナーNo.6」的なものがあります。何を言っても問答無用で「状況」に戻されてしまう主人公。そして主人公が自分が何故閉鎖環境にいるか気付いた時の絶望。
アメリカ映画での「絶望」描写は珍しい。

総じて不満はないのです。特に最後の「写真」は秀逸。あそこで終わっていたら本当に傑作だったと言い切れたと思うけど、そうならないのはアメリカ映画だから、でしょうね。惜しいけどそこはそれでもいいかなと。
ただ問題はエピローグ(というかプロローグか)でストーリーの論理的な整合性が崩壊しているところ。量子物理学的並行世界でもそれはないぞと思ったし完全に蛇足です。この点はSF映画としてどうかなと思う所があります。

蛇足という欠点はありますが、SF的なガジェット、設定をうまく活かしたオリジナルSF映画としては傑作の一つだと思います。(インセプションほどではないにせよ)
脚本も良く出来たエンターテイメント作品としてもお勧め出来る一作です。