2010年11月14日日曜日

名古屋フィルハーモニー交響楽団第374回定期演奏会『サンクトペテルベルク』

名古屋フィルハーモニー交響楽団第374回定期演奏会『サンクトペテルベルク』
日時:2010年11月13日(土)16時〜17時40分
場所:愛知県芸術劇場コンサートホール
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団
指揮:井上 道義
コンサートマスター:日比 浩一

最初はベートヴェンの『コリオラン』序曲。指揮台、譜面台なしだなーと思っていたら道義先生が登場。さっと腕を振って演奏開始。暗譜でした。
小規模な編成だったので指揮台に乗らなくても指揮が行き届く事、そして道義先生の踊るような指揮はない方が便利というあたりが理由かなぁと推定。
小規模にもかかわらずオケは鳴っており、端正な演奏でした。

『コリオラン』終了後、弦部は一旦下がってレイアウト再編開始。第1ヴァイオリン、16名編成だったような……ともかく椅子と譜面台を押し込む、押し込む、押し込む。最後列は打楽器隊が勢揃いしていましたが、スネアドラムのみヴァイオリンの後方に配置されたりと変則的。

第7番は大規模編成。指揮が行き届くようにするためか指揮台と譜面台が据え付けられ、各席の譜面台に第7番の譜面がのせられて準備完了。
第1楽章、最初は迫力がない印象を受けましたが、侵攻のエピソード(というよりシュワルツネッガーのCM「チーチーンプイプイ」ですな)がスネアドラムの響きとともに始まると1滴の水滴が徐々に水量を増して最後は怒濤のごとく民衆に襲いかかるがごとき強烈な音圧に圧倒されました。
今回失敗だったなと思ったのが座席位置。2F右側ちょうど指揮者を真横に見るあたりだったのですが、手前のコントラバスや金管セクションの一部が見切れるという配置。
ヴァイオリンはきれいに聞こえるのですが、見切れてしまうこれらコントラバスや金管セクションは身を乗り出さないと堪能できなかったのが残念。
隣の席の方がしばしば身を乗り出していたので何をしているんだろうと思ったら、そうする事で聞こえは良くなるんですよね。納得でありました。
音響的見切れ問題、ピアニッシモでも影響大。愛知県芸術劇場コンサートホールは音響が豊かだと思いますが、7番に関してはデッドでダイレクトに音が体感できた方が良い気がします。日比谷公会堂のショスタコチクルス、後半だけとは言え聞く事が出来たのは幸運だったと思うわけですが……7番はトランペットのバンダ部隊を投入したかなり意欲的演出だったと聞いているので、今日の演奏を聞くと逃した魚は大きかった気がします。。。
第2楽章、第3楽章は正直苦手なので特に感想はなし。ただ井上道義先生とオケは絶好調。緊張感の漂う演奏が続く。
第4楽章は再び第1楽章のメロディーが引用されるなどフォルテッシモ吹き荒れる怒濤の演奏、弦と木管(ソロ多数で大変そう)、金管(怒濤の進撃の要)、パーカッション(ティンパニーの使い方はショスタコーヴィチの特徴だと思う)が渾然一体となってホールを吹き荒れて終了。
今日は何回かぞくぞくと来るところがありました。大変な熱演で正直5月のタコ5の失望から見るとこの差はいったい何だったのだろうかと思っています。
指揮者は名フィルと約3年前に11番、12番連続演奏という野心的なプログラムを取り組んでいる事は確実にプラスだったのではないかと思いますし、井上道義さんの指揮棒にオケが食らいついていった結果が成就したのでしょう。
前日が聞けなかったのが大変残念に感じられます。