20日に時間調整にシネコンに駆け込んで見てきました。
- 悪くはないんですが、TV/DVD作品→映画化に際してこれまでの製作/方法論をそのまま適用したところが多い印象を受けました。
- まず上映時間が長いですね。この内容で2時間超は長いだけじゃないかと。原作そのままの演出だと思いますが、主人公の独白描写もそのまま映像化されており、その点が長く感じられた要因だと思います。主人公の独白に対する対処は24分という尺では気になりませんでしたが、2時間超の映画作品に同じ方法論の適用だけは芸がない気がします。少なくとも内面描写に絵を付けるのは安易な解決策だし止めて欲しかったところです。
- これまでの方法論と言えばロケハンの多用は本作でも継続。それは良いのですがビデオ画像にエフェクトをかけてそのまま背景に利用したシーンが目につきました。こうなるとアニメ表現の必然性に疑問が生じます。
- 「消失」では回収されない「宿題」が最後に発生します。原作通りと言えばそれまでですがアニメシリーズで今後どのように回収を図るのかが気になります。
- 楽曲最初はTV/DVD版で途中から管弦楽バージョンだったと思います。エンドロールを見たら、クラシック版コンサートの指揮者などの名前が出ていました。このあたりは映画版での見直し部分なんでしょう。ただ、クラシック楽曲で選ばれていたのがサティの有名曲というのはこれまでの路線から外れた選曲でしょう。これならオリジナルの楽曲だけで良かったのでは?という気がします。
- エンドロールの楽曲。意図は分かりますが単調過ぎ。あとエンドロール終了後にシーンを付け足すのは止めて欲しいですね。エンドロール中に終わったと思って退場する人(それはそれで本来どうかと思いますが)は結構います。逆にあの楽曲を掛けておいて最後まで席にいた方が良いですよというのは少々無理がある気がします。
- ストーリーに関しては映像化してみると不思議な印象を受ける部分があります。一番描写不足に思えたのがENTERキーのシーン。一つの世界をリセットする決断の描写を映像化されてみると、その葛藤があまりに短いように思えます。元世界の関係者を勢揃いさせる過程があった訳ですから。この点は原作からの弱点だから仕方ないとは思いますが、どうも説得力がない気がします。
- 長門さんへフォーカスするなら少し原作から離れてストーリー展開すべきだった気はします。(これも原作の課題だと思いますが)
なんか、文句ばっかりですが期待し過ぎた反動ですね。ただ最初のTV/DVDシリーズの野心的な試みがすっかり陰を潜めたように見えるため、相対的にマイナスに見えてしまっているんだと思います。という事で、そういったバイアスを排除して考えれば、よく出来た映画だと思います。