2017年6月20日火曜日

映画「ローガン」旅の終わりと継承 

「ローガン」の世界はX-MEN世界から少し外れている。作中でローガンはアメコミで描かれている事は1/4程度しか本当の事は描いてないと言っている。X-MENが実在しておりアメコミはその活躍を元にしたフィクションとして描いているのが「ローガン」の世界となっていて、過去作の「史実」とは異なる展開となっている。
近未来を描いた作品としてはかなりダークであり、その設定は興味深いので、映画のあらすじと出てくるキーワードで気になったものについてまとめてみた。

書いている内容の関係上、物語の核心、いわゆるネタバレとなる内容について触れていますので映画をご覧になってない方は読まれないようにお願いします。

映画、これから見るなら吹替え版がお勧めです。本作は背景のキャラクターやテレビCMなども意味がある事を言っていて吹替だとそういった所まできちんと対応されています。



















1. Logan年表とあらすじ

2004年:最後のミュータントが生まれる。
2018年:X-23生まれる。
2028年:ウェストミンスター事故(7人のミュータントが死亡。600人以上が麻痺)。ローガンとチャールズが逃亡。ローガンはその際にキャリバンの助けを求めている。メキシコの砂漠にある廃工場に隠れた後、ローガンはテキサス州エルパソで2024年型リムジンを手に入れて(リース)、ネットによるタクシー運転手稼業を始めたらしい。

2029年
DAY1:病院でチャールズの薬を手に入れたローガン。アルカリ・トランスジェンのドナルド・ピアースの接触を受けガブリエラの話を聞かされる。
夜、リムジンタクシーの仕事を終え、次の呼び出しでモーテルへ向かったところでガブリエラから仕事の依頼を受ける。断ろうとするが大金に目が眩み引き受ける事になる。

DAY2:ガブリエラからすぐ来て欲しいとのSMSを見て夜明け前に隠れ家を出たローガンはモーテルに再び向かうが、ガブリエラは何者かに殺されていて娘は姿が見えない。
隠れ家に戻ったローガンはピアースの訪問を受けるが、ピアースはローラの奇襲で気絶。ローガンはキャリバンにピアースを砂漠に捨てさせようとしたが、逆にピアースがキャリバンを捕らえてしまう。戻ってきたピアースと傭兵部隊「リーヴァーズ」、メキシコ連邦警察官たちが襲いかかる激しい戦いの中でローラの能力、そして誰の血を引いているのかローガンは知る事になる。そしてローラとチャールズを連れてメキシコの隠れ家を脱出したローガンは三人でノース・ダコタを目指す旅に出た。

DAY3:オクラホマ・シティーのカジノ・ホテルに潜伏する三人。ローラはホテルの親子のマネキンをじっと見入る。ローラはこの時チャールズからある古い西部劇映画について教わる。
車を捨て中古SUVを手に入れたローガンは車のタイヤ交換待ちの間にローラが持っていたコミックに書かれたある記述を見つけて絶句する。
ホテルに戻った所にピアースの追跡隊がホテルの部屋を襲撃。チャールズが大きな発作を起こした。
ローガンはチャールズの発作の直撃を受けたリーヴァーズ隊員たちを刺し殺し、ローラの助けでチャールズの発作を止める注射薬をやっとの事で打った。ローガンは二人を連れて大慌てで脱出する。

DAY4:前日の麻痺で400人以上が被害を受けた事がラジオで報道される。その際、1年前にウェストミンスターでのミュータント7人死亡、600人以上の人が麻痺した事件との相似性が指摘された。
CANEWOOD社につけねらわれているマンソン家の人達を助けたローガンたちはマンソン家に招待をされる。楽しい夕食の団らんの中で見せるローラの笑顔。
マンソン家の土地を狙って嫌がらせをするCANEWOOD社と水道ポンプ場で少し争いになる。家に戻ってみるとリーヴァーズとザンダー・ライス博士の追跡隊がやってきており、マンソン家の親子三人が次々とX-24に殺された。そのX-24と遭遇したローガンは、マンソン家の人々の救護をせずローラを連れ去るX-24を放置して、チャールズの元へと行ってしまう。
チャールズが亡くなった時、X-24はCANEWOODのゴロツキを全滅させる大殺戮の凶行に及んでいた。ローガンはX-24を攻撃するも逆に圧倒されそうになった時、X-24に刺されていたウィル・マンソンがX-24を車で跳ね飛ばし、更にショットガンを何発も撃ち込んだ。そしてウィル・マンソンの銃はローガンに向けられ引き金が引かれたが、もはや弾倉は空。そしてウィル・マンソンもそのまま倒れて死んだ。

DAY5:脱出したローガンとローラは水辺の場所にチャールズを埋葬した。ローガンは弔辞を言おうとしたが「水辺に埋葬出来て良かった」という以上の事は言えず車に戻って出そうとするがバッテリーが上がったのか動かず八つ当たりしたあげく倒れてしまう。
釣りにやって来た人のフォード4WD車を見ていたローラはどうにかしてローガンを車に乗せると街中にある診療所へと連れて行った。
医師を振り切って診療所を出たローガンをローラは止めていた車に連れて行った。そしてエデンは嘘だと言い張るローガンにひたすら名前を詠唱し地図を見せて諦めなかった。ローガンは根負けしてノースダコタへ行く事に同意した。
途中、怪我が回復しなくなってきたローガンが運転中に気絶しそうになり、遂にローラが車を止めて休むように言った。ローガンもその言葉に従い睡魔に完全に捕まった。
夕方、ローラはローガンの片足をどけるともう片足でシートを合わせて車を走らせた。

DAY6:ローラの運転で指定されたノースダコタ州の座標に到着。エデンは確かにあったのだった。重体のローガンはそこで若きミュータントたちの看病を受けた。

DAY7 or 8:ローガンが起きるとローラを含む子どもたちにより髭が往年のウルヴァリンの形に整えられていた。ローガンのうろたえように笑う子どもたちとローラ。
ローガンは2日間も寝ていた事を知り、すぐ出発しろと言ったが子どもたちのリーダーのリクターは計画通り今日まで待って明日の朝(金曜日?)、衛星のない時間帯を狙って国境越えすると言った。

DAY8 or 9:ガブリエラが言っていた国境が閉じる前の最後の国境越えの日。(金曜日には着く必要があるという言い方をしているので土曜日じゃないかと推測)

朝、ローガンが目覚めると子どもたちは出発していて、薬と「一度に全部使うな」と注意書きメモが残されていた。ローラと子どもたちをザンダー・ライス博士とその私兵が追っているのに気付いたローガンは子どもたちを守ろうと山中を分け入り薬の力を借りて疾走した。
ローラに追いついたローガンは銃撃から娘を庇いつつ二人でリーヴァーズを倒していく。
ザンダー・ライス博士、ピアースと対峙したローガンは2004年以降の出来事の主犯がライス博士だった事を知り間髪入れず射殺。ピアースにより放たれたX-24との死闘の中、ローラと子どもたちを守ろうとボロボロに瀕死の重傷を負いながらもローガンはX-24に対して立ちふさがろうとし続けた。
リクターがX-24を止めたように見えたが、そこからも立ち上がってきた不死のX-24。ついにX-24がローガンに止めを刺そうとした瞬間、ローラがリボルバーである弾丸をX-24の頭に撃ち込んで全てを終わらせた。
ローガンは死に行く父から娘への祈りの言葉を残し、そしてチャールズが伝えようとしてくれていた事を理解した。


2. 用語メモ

CANEWOOD社:ザンダー・ライス博士が作り出したミュータントを生み出さないための遺伝子改良作物のコーンからコーンシロップを作って販売している。よく知られた健康食品のようで作中でもTV CMで出てきており、無人トレーラーの積んでいるコンテナにも同社ロゴが書かれた車両も紛れていた。
ウィル・マンソンいわく「翌日体調が悪いなんて事はなくなった」という代物。
劇中では大企業が住民を脅かす事もまかり通るようになっており、ゴロツキを雇ってマンソン家と対立していた。

ALKALI TRANSGEN社:ザンダー・ライス博士が属する会社。政府への影響力は絶大でアメリカとメキシコにおいて警察、軍と思うがままに使っている。
傭兵部隊であるリーヴァーズのピアースですら警察から情報を取れる。大企業が強権を振りかざして事を進める事が出来る社会になっている。

HIGHLAND HORNET:ニューメキシコ州アルバカーキの高校のスポーツチーム名。ここの体育館に臨時野戦病院・モルグが設けられている。ローガンたちはオクラホマシティーから北上していると思うのですが、何故ニューメキシコ州アルバカーキにライス博士とピアースが拠点を置いたのか不思議。(ザンダー博士が合流した地点にあった距離標識にはオクラホマシティーとエイダが載っていた。エイダもオクラホマシティー近郊の町で実在)

地下ミュータント鉄道:南北戦争前夜、逃亡奴隷をリレーでカナダへ送る組織があり「地下鉄道」を名乗っていた。マンゴールド監督はこの事を意識されていたそうで「地下ミュータント鉄道」を扱っていると答えられていた。
作中明言される事はないが、「エデン」でリクターがやりとりしていた無線機の相手であり、おそらくそれはアメコミのエデンの回に座標を入れる事が出来た人たち(出版社なのか著者なのか気になる所)なのであろう。

国境の閉鎖:ガブリエラは金曜日までにエデンに辿り着く必要があると言った。でないと国境が閉じると。これもどのような事態が発動されようとしていたか語られていない。実際に大統領がメキシコとの国境に壁を作ろうとして必死になっているが、そういう光景はローラたちの越境ルートでも見られないので、偵察衛星と無人機の組み合わせによる国境閉鎖など想定されているのではないかと想像。

無人トラック:少々の事だと回避運動と電子警告音声を鳴らす事しかしてくれないという恐怖の自動運転トラック。運転席がなくシャーシとエンジンだけで成り立っていて、シャーシを連結してコンテナ2個、3個積みのものも見られる。

2024年型リムジン:車体延長型のリムジン。計器は液晶パネル化されていて運転者のライセンス情報も液晶パネルに表示している。ガソリン車なのかハイブリットなのかは不明。