2011年6月13日月曜日

人の所為の観察者と故郷

残念(デジタル大辞林)
1 もの足りなく感じること。あきらめきれないこと。また、そのさま。「―なことをしてくれた」
2 悔しく思うこと。また、そのさま。無念。「負けて―だ」

 村上春樹氏がスペインでの講演で感じた事。村上春樹氏が言われた事は別段おかしくないとは思うのです。但しそれが2011年3月11日より前だったら。私がひっかかるのはその点だけです。

イスラエルでの受賞スピーチは、何故受賞を受けたかという覚悟を示されていたように思います。今回の発言は起きてしまった事に対してこうあるべきだった論をやられていたのが、この人らしからぬ事に思えます。(まぁ勝手な見方ではあると思いますが。)
 もう一つ感じたのは、この人は故郷について触れない事。この傾向はそれこそ阪神・淡路大震災、サリン事件の頃からあった事ではあります。「人の所為に対して興味を持っているから」と言及されている方がいましたが、多分そうなのだろうとは思います。(サリン事件の方はノンフィクションで上梓されていますし)
 それでも、この人が故郷について深く触れたらどう描くのだろうかというのは大変気になります。というのもその故郷は私の故郷でもあるから。時代は違いますが多分同じところの風景を見られた事はあるだろうと思うし、そのような人が故郷をどう見ているかというのは興味はあります。その事は多分語られる事はないだろうと思うと残念だと思っています。


補足)作家に対して書いて欲しいと思う事はあっても「書くべきだ」等との発想は甚だ失礼な事だと思います。故に私は村上春樹氏が故郷を描かない事は「残念」だと思う事はあっても、「書いて下さい」「書くべきだ」と言った意見は持つ事は到底考えられません。